年を重ねるって、今の自分をアップデートしていくこと
「最近、髪がうねるようになった」「トップがぺたっとするのに、横だけ広がる」。年齢を重ねると、髪の変化は誰にでもやってきます。僕にも変化の波が来ています。
先に、この記事でいちばん伝えたいことを言っておきます。年齢はただの数字です。変わってきた髪も、正しい知識とやり方さえあれば、いくらでも素敵にできます。若返ることが正解なわけではなくて、今の年齢の髪との付き合い方を楽しめるようになってほしい。僕はそう思って、この記事を書いています。
髪が変わったなと思ったとき、不安になるのは当たり前
多くの方が最初に髪の変化を強く感じるのは、前髪に白髪を見つけたときです。
隠したくて分け目を変えてみる。でもなんだかしっくりこない。鏡の前で右にしたり左にしたりして、結局いつもの場所に戻す。そんな経験あるかなと思います。
年齢を重ねると髪もうねってきたり、パサついたり、ボリュームがなくなってきます。
だんだん変わるので普段から意識はしていないけど、ふとした瞬間に変化に気づきます。
そして、何をすればいいのか分からない。
人は分からないことに不安になるものです。トリートメントを変えてみる、シャンプーを変えてみる、それでも戻らない。そうなると「もう年齢だから仕方ないのかな」と思ってしまいますよね。
僕は自分のサロンでお客様に「年齢はただの数字ですよ」「いつからでも必ず綺麗になりますよ」とよく伝えることがあります。最初は100%は信じられないと思います。髪型を通して、技術やアドバイスで少しずつ心をほぐしていって、仕上がりを見て「自分にもできるかもしれない」と感じてもらう。美容師の仕事はそういうものだと思っています。
それに、変わっているのは髪だけではないですよね。肌のこと、体のこと。年齢とともに出てくる変化の中に、髪の変化があります。
女性は何歳になっても綺麗でいたい。その気持ちがあるからこそ戸惑うのだと思います。だから僕は、まずお客様の話を100%受け入れて、否定しないことを大事にしたいです。

トップがぺたっとして、横が広がるのはなぜか
表参道でくせ毛のカットとスタイリングをのべ7万人以上担当してきて、大人の方からいちばん多い相談が「トップはぺたっとするのに、横は広がる」です。上はへこんで、横はふくらむ。なかなか意地の悪い組み合わせですよね。
理由は2つあります。トップは髪の水分とハリコシが減ってきて、重力に負けてぺたっとしていきます。横は水分が減ることで、今まで出てこなかったくせが出てきたり、ジリジリとしたパサつきが出て広がります。同じ「水分が減る」という変化が、場所によって逆の見え方をしているわけです。
ここから先は、どう付き合っていくかの話をします。
Q. 出産のあとから髪が変わった気がするのは、気のせい?
気のせいではありません。出産のあとは根元から髪質が変わることがよくあります。年齢によるうねりはゆっくり変わっていくのに対して、出産後は変化が分かりやすいので、戸惑う方が多いです。ホルモンバランスの変化で肌や髪は影響を受けていきます。変化の度合いにもよりますが、戻る場合もあればそのままのケースもあります。
まず覚えてほしいのは、トリートメントよりスタイリング
髪が変わってきたとき、多くの方が最初にやるのが、高いトリートメントを買うことです。気持ちはよく分かります。ただ、メイクに例えると分かりやすいと思います。
肌のシワやくすみが気になったとき、スキンケアを頑張ろうとしますよね。高い化粧水や美容液でシワが目立たなくなるのには時間がかかります。効果がない場合もありますよね。
でも、今日すぐに綺麗に見せてくれるのはメイクです。髪でいうと、スキンケアがトリートメントで、メイクがスタイリングです。
スタイリングといっても、アイロンを使いこなすとか、ブローを頑張るとか、難しいことをするわけではありません。今の自分に合った簡単な方法が必ずあります。それを美容師に教えてもらって、自分のものにする。それだけで「今日は髪の調子がいいな」と思える日が増えます。
しかも、今持っているスタイリング剤やヘアオイルで、割とできてしまいます。新しく買う前に、今持っているものを美容師に伝えて「これでできるやり方」を聞いてみてください。足りないものがあれば「こういうものがいいですよ」と提案があるはずです。今はAmazonなどでなんでもすぐ手に入りますからね。
Q. 高いトリートメントに変えたほうがいい?
ケアも大事です。順番として、まずスタイリング、次にケアです。トリートメントを変える前に、今の髪に合った乾かし方とスタイリングを1つ覚えるほうが、見た目の変化は早いです。
前髪と分け目で、顔まわりの印象は変わる
トップがぺたっとする方に多いのが、髪が長くて、前髪を分けて耳にかけているスタイルです。楽ですよね。分かります。ただ、これがいちばんぺたっと見えます。
前髪を作る。もしくは前髪を作らないにしても、ふんわりするような分け方にする。これだけで顔まわりの印象は軽やかになります。
横の広がりは、乾かし方とスタイリングで収まることが多いです。乾かし方はくせ毛がまとまらないのは順番のせい?LCOメソッドと自然乾燥のコツに書いています。髪質によってはレイヤーを入れたり、顔まわりのデザインでボリューム感を調整することもできます。自分の髪がどのタイプかはおうちでできる2タイプの見分け方で確かめられます。
似合う髪型は1つじゃない。年齢を重ねるほど幅は広がる
人は昔よかったものを引っ張りがちです。20代でボブが似合っていたからずっとボブ、ロングがよかったからずっとロング。それも1つの個性だと思います。
ただ、似合う髪型は1つではありません。年齢を重ねることで、若い頃には似合わなかった髪型や服が、今になったらできるようになることは多々あります。年齢がついてくる、という感じです。
僕自身の話をすると、前髪に白髪が増えてきて、30代は染めていました。40代になって、白髪を生かすカラーを試してみたら、評判もよくて、自分でも「白髪を生かすって楽しいな」と思えました。年齢を重ねたからできることが、確かにあります。

たとえば長さ。年齢を重ねると、短いスタイルのほうがボリュームが出て似合うことも多いです。ロングが好きな方に無理に短くしてほしいわけではなくて、今の髪に合うベストな選択肢やスタイルを提案するようにしています。
Q. 短くしたほうがいい?
必ずしもそうではありません。ロングが好きなら、そのままでいいです。ただ、今の髪には今の髪に合う長さがあります。選べる髪型が1つ増える、くらいに考えてみてください。
1回で全部を変えなくていい
髪は年齢とともに変わり続けます。だから、1回のカットで悩みを全部片づけようとしなくて大丈夫です。
同じ美容師に続けて相談すると、髪の変化やその後の様子を見ながら、少しずつ今の髪に合わせていってもらえます。長く通ってくださっている方は、気づいたら悩みが軽くなっていた、ということがほとんどです。「最近、髪が変わってきた」と一言伝えるだけで、そこから始まります。僕でなくてもいいので、一緒に歩んでくれる美容師を見つけてほしいと思っています。
年を重ねるって、アップデートしていくこと
人は誰しも年を重ねていきます。僕は「年を重ねる」という日本語がとても好きです。年を重ねるって、アップデートしていくことじゃないですか。今までの自分を否定するのではなくて、今までの自分もいて、今の自分もいる。その先に未来の自分が重なっていく。そうやって人生ができていくのだと思います。
今が人生で一番若いです。どんどんアップデートして、変化を恐れずに少しずつ重ねていく。それは見た目だけの話ではなくて、気持ちや人生観にもつながります。ヘアスタイルをアップデートすることで、自分の人生との向き合い方も、もっと楽しくなるんじゃないかなと思っています。
髪のことで悩んでいたら、ご相談ください。